より精密で複雑化する加工に対応するため、より付加価値の高いバイトの製作が必要となっています。高度経済成長期には、現在では想像もつかないことですが、ステンレスを効率的に切削できる刃物(バイト)はほとんど存在していませんでした。当社でもその当時、ステンレス用(現在の「MAX1Z」)のバイトを販売していませんでした。
ステンレス加工は、その特性として熱伝導率が低く、加工硬化しやすい性質を持っているため、従来の切削工具では効率的な加工が困難でした。しかし、多くの企業がステンレス加工に取り組む傾向から、需要の増加を見込み、ステンレスの切削条件を確立するために数多くのテスト加工とデータ収集を重ね、ステンレス用チップ「MAX1Z」が開発されました。その結果、ステンレス用バイトとして日本中で高い評価を得ることとなり、現在では大手切削工具メーカーもステンレス用バイトを製品化しています。
また、硫黄快削鋼用チップ「MAX22」も同様に、日本の加工業者の8割が切削に苦心していた状況を踏まえ、「MAX1Z」と同様の実証実験を経て開発されました。この開発により、硫黄快削鋼の加工効率が大幅に向上し、製造現場の生産性向上に貢献しています。現在は、より精密で付加価値の高い製品を提供するため、超硬材料に加え、単結晶ダイヤモンド製品など、顧客ニーズに応える製品開発を継続しています。