旋盤・バイトの歴史

投稿者 : 謙櫻井 on

旋盤に取り付けるバイトの歴史は、旋盤の歴史と密接に関連しています。古代エジプト・古代ギリシャでは木工用の旋盤に取り付けていたものは、石や青銅製の鑿(さく)がバイトとして使用されていました。

・その後、中世ヨーロッパでは木工用の旋盤に鉄製のバイトが使用され、14世紀頃からは金属加工用の旋盤でもバイトが使われるようになりました。この時期には、車輪や歯車などの精密な部品を作るためにダイヤモンドや宝石などの硬い素材を使ったバイトが開発されました。

 

日本でも古くから存在し、古墳時代には木工用の旋盤が発掘され、中世の日本では、手工業や大名家で木工用の旋盤が使用されていました。また、江戸時代には和紙・綿布などの産業で紙漉き機(かみすきき)や紡績機(ぼうせきき)木工用の旋盤が使われていたほか、陶芸用の旋盤も発展し、特殊な陶芸用のバイトが使用されるようになりました。

 

18世紀には工業化が進み、機械式の旋盤が発明されました。これにより大量生産が可能となり、工業化が加速しました。大型の機械の製造に使われる大型バイトが登場しました。
・19世紀には蒸気機関の発明により、より高速で効率的な旋盤が開発され、精密加工技術が向上していきました。この時期には、高速回転が可能な刃先形状を持つバイトが開発されました。

 

日本では、19世紀に西洋の技術が伝わり、明治時代には海外からの技術移転や国内の技術者の努力により、旋盤工場が誕生しました。当初は海外からの輸入品が主流でしたが、明治時代中期から国内生産が始まり、日本の伝統技術や文化に基づいたバイトも開発されるようになり国産化されました。
・戦後の高度経済成長期には、電動旋盤やNC旋盤などの進歩により、超硬合金製のバイトや高速回転に対応した形状を持つバイトが開発され、精密加工に欠かせない存在となっています。日本の旋盤メーカー・旋盤用バイトは高い品質と制度で世界的に評価されています。

 

次回の記事では昭和30年代に使用されたバイトをご紹介していきます。